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原稿中かつパラレル神父ものも終わってなくてもうしわけないんですが
今日見た友人の空折絵がすばらしくて触発されてSSかいてしまいました。
一緒に寝ることにこだわる男・キース。あまいです。
絵はもし掲載許可が頂けたら…いいな…… 
掲載許可頂いたので一緒に置かせていただきました!!夏八木さんありがとうそしてありがとう!!!

では続きからどうぞ。


372108707.png
 





 こんな話をしたことがある。

 イワンがゲストルームで寝ようとするので、私は気にせずメインベッドルームで寝ればいいと言った。
 すると、イワンは頑なに首を横に振った。プラチナブロンドの髪がさらさらと流れて、何だか流星のようだなと思ったからよく覚えている。
 なぜだい、と私は訊いた。とても悲しかったのだ。折角泊まりに来てくれているのに、一緒のベッドで寝てくれないなんて。曲がりなりにも、私達はそれをしていい関係だと思っていた。
 ――というか、もう既に私達は
 一度と言わず二度、三度は確実に同じベッドに寝て、恋人たちの夜を過ごしていたのだ。
 だから、私に落ち度があるのではないかと心配になった。


「そう言えば、君は一度も朝まで私の腕の中に収まっていた事が無いね」
「…っ、それは…」

 俯いてタンクトップの裾をぎゅっと掴む。そうすると、普段から見えているはずの鎖骨が余計扇情的に見える事を彼は知らない。
「私の腕じゃ硬過ぎる?」
「そそそ、そんなことじゃありません。あの僕、寝相が悪くて、どうしても」
 丸まってしまうのだ、と彼は言った。
 確かに、言われてみれば彼は朝起きるとくるんと丸まっている。広いベッドの片隅に、猫のようにこじんまりと眠っているのだ。その顔を堪能する為には一度起き上がらなくてはならなくて、そうすると彼が起きてしまう可能性は飛躍的に上がるのだった。忍者を標榜する者として、その能力は確かだなと苦笑してしまうのだが。
「だが、君は丸まりこそすれ、私を蹴ったり、抱きついてくれたりはしないだろう?」
「う……」
「だったらせめて、同じベッドで寝てくれないか」
「…うぅ…」
「イワン」
 決して、二人の夜を否定しては居ないのだ。寝る前のシャワーを一緒に浴びてくれたし、そこでの触れ合いにも前よりずっと積極的に応じてくれた。流石に最後まではしていないが。
「…キースさんの」
「ぅん?」
 意を決したように、一度だけキッとこちらを見た後、直に俯いた。前髪が完全に彼の綺麗な瞳を隠す。あぁ、ほんのり覗く彼のとがらせた唇を私の口でつまんでしまいたい。
「…キースさんの、匂いが、すごく、その」
「…嫌いかな」
「ちが!違います!むしろ逆で」
「え?」
「ベッド全体キースさんの匂いだなぁって思ってしかも目を開けたらキースさんがいるんだなぁってなったら眠れなくて僕あんなっ…あ」
 小さい声ながらまくしたてるように一気に喋ったイワンは、息切れしたような真っ赤な顔を私に向けた。目が合った瞬間、ぼっと音がするような勢いで、耳の先まで赤くなる。
「……あんな?」
 私の顔も、多分赤い。そしてなにより締りのない顔をしていることだろう。
「丸くならないと、………意識しちゃって眠れないんです…」
 しょぼしょぼと消え入りそうな声だったが、私には十分すぎる愛の言葉に聞こえた。
 彼を抱きしめる。なんだってこんな話を色気のない廊下でしているのだろうか!
「解った、ではこうしようイワン」
「は、はい…?」
「ゲストルームで二人で寝よう。そうしたら、少なくともシーツや枕に私の匂いは付いてないだろう?」
「え、あ…」
「そして、私の匂いが恋しくなったら腕に頭を乗せてもらえると私はとても嬉しい」
「…えと、それじゃ眠れなくなってしまうかも…」
「じゃあ君が気を失う程激しく抱いてあげるのはどうだい?」
「!!?やっ、ゲストルームで寝ます!寝ましょう!!」
 初めの時のようにぶんぶんと頭を振って、あげく恋人は私の腕からするりと離れてしまった。今度は私が俯く番だ。
「グッドアイディアだと思ったんだが…」
「ヒーローですから!出動できなくなったら困ります」
「あぁ、それもそうだね!」
 そんな真面目な恋人だからこそ私は好きなのだった、と解りきっている事実をもう一度再確認して、私はイワンとゲストルームに向かった。
 


 ――それから彼が我が家に来る時は、二人ゲストルームで寝ている

 意外と狭いベッドも良いものだ。恋人がどれだけ丸まっても、その身体の一部はどこか必ず私に触れる。
 ただ、まだ彼は腕枕にずっと応じてはくれない。本人は「が、頑張ってるんです、これでも」と可愛く謝ってくれるから良いのだが。
 ――しかし、彼は気付いているのだろうか
 このままゲストルームで一緒に寝ていたら、彼の言う『私の匂い』とやらが、このベッドにもきっと残ってしまうということを。
 そうしたらもう、彼は観念して私の腕の中におさまってくれているんじゃないかと、そんな期待を私はしている。

 

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